会社比較

電線御三家(住友電工、フジクラ、古河電工)の決算を徹底比較!

2023年3月6日

この記事では電線大手3社の売上、事業内容などを比較していきます。

"電線"と聞いて真っ先に思い浮かぶのは電柱にかかっている送電線や配電線ではないでしょうか。日本の街を歩くと、ほぼ毎日のように電柱と配電線を目にしますね。

しかしこれら電線御三家の主事業は架空送電線や配電線だけでなく、自動車用ワイヤーハーネスや光ファイバー、貴金属類を加工する技術を応用した素材や電子部品など様々な事業まで及びます。

電気が社会のインフラとして普及した現代、電線はあらゆる場所に張り巡らされており、電線市場の規模は非常に大きなものとなっています。

  1. 住友電気工業 (東証プライム : 5802) 
  2. フジクラ (東証プライム : 5803) 
  3. 古河電気工業 (東証プライム : 5801)  

3社の売り上げ、利益規模は以下のようになります。単位 : [百万円](2022年3月期)

  1. 住友電工 
    3367863(約3.36兆円)(売上高)
    96306(約963億円)(純利益)
  2. フジクラ
    670350(約6703億円)(売上高)
    39101(約391億円)(純利益)
  3. 古河電工
    930496(約9304億円)(売上高)
    10093(約100億円)(純利益)


電線メーカーの売上規模

3社の売上規模、営業利益率を見ていきます。(3社とも2022年度3月期の数字)

売上高[百万円]営業利益率海外売上比率
住友電工33678633.6%58%
フジクラ6703505.7%67%
古河電工9304961.2%50%

3社とも営業利益率は、他の業界と比べるとやや低めです。

主な事業内容

自動車用ワイヤーハーネス

自動車用ワイヤーハーネスは、自動車内の電気系統を配線するために使用される部品です。自動車の各種電子部品、センサー、スイッチなどの機器は、電気信号を送受信するためにワイヤーで接続されますが、その配線を効率的に行うために使用されます。

ワイヤーハーネスは、車両の主要な電気部品を結びつけるために、プラグやコネクターを備えた一連の配線を束ねたものです。車の様々な部品間の信号伝達を確実に行い、車両の機能性を維持する重要な役割を果たしています。

ワイヤーハーネスは、自動車の製造業者が組み立てる前に予め作られ、完成車のラインに取り付けられます。ハーネスには、正しい配線が行われているかを確認するための品質管理手順が含まれており、車両の信頼性を確保する重要な役割を果たしています。

光ファイバー

光ファイバーは、情報通信分野で広く利用されており、例えば、電話回線、インターネット、ケーブルテレビ、衛星通信などで使用されています。光ファイバーは、伝送速度が非常に速く、情報の伝送効率が高いため、大量のデータを高速に送信するのに適しています。

内部にはコアと呼ばれる中心部分があり、その周りをクラッドと呼ばれる光を反射させる層が覆っています。光の反射と屈折の原理を利用しており、光はコアを伝わり、クラッドで反射しながら伝送されます。

光ファイバーは電磁波を発生しないため、電磁波による干渉を受けることがなく、安全であることが利点の一つです。また非常に耐久性が高く、信頼性が高いため、情報通信分野だけでなく、医療分野や自動車分野などでも利用されています。

エネルギー、インフラ

エネルギー、インフラ事業に含まれる製品の例を挙げると以下のようになります。

  • 海底ケーブル
    海底ケーブルは、海外との通信をはじめ、国内の離島や沖合いの油田・風力発電所などへの通信にも利用されている。一般的には、光ファイバーケーブルが使用されており、高速かつ大量のデータ通信が可能。また、海底に敷設することから高い耐久性と防水性が必要であり、海底に沈んでいる状態で数十年間使用されることが想定されている。
  • 地中ケーブル
    地中ケーブルは風雨や自然災害、周囲の環境や温度の変化による影響を受けにくいという利点がある。また配線の美観を損なわず、地上のスペースを確保することができるため、都市部や居住地域など、空間に制約のある場所での利用に適している。一方、埋設・敷設工事が必要であるため設置費用が高くなる場合があり、またケーブルが破損した場合、修復が困難であるというデメリットがある。
  • 架空送電線
    高い塔や柱に設置された専用の鉄塔や鉄柱に、電線を張り巡らした送電線を指す。架空送電線は地上に敷設する地中送電線に比べ、配線が容易であるため、送電の効率を高めることができる。また、災害による配線の破損に対する修復が容易であることから、地震や台風などの自然災害が多い地域では架空送電線が利用されていることが多い。
  • 太陽光発電装置
  • その他産業用電線



住友電気工業 <東証プライム : 5802>

住友電気工業の売上、当期純利益率を見ていきましょう。


2018.32019.32020.32021.32022.3
売上高(連結)30822473177985310702729185803367863
当期純利益120328118063727205634496304

2021年度3月期(2020年4月1日~2021年3月31日)は、当期純利益が563億円と大幅な減収減益となっています。

同社の決算短信によると、

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車生産の減少や通信・電力関連工事の遅延のほか、光ファイバの価格低下もあり、上半期を中心に厳しいものとなりました。

住友電工 2021年度3月期 決算短信

上半期はコロナウイルスによる自動車サプライチェーンの混乱により、ワイヤーハーネスや自動車電装部品、防振ゴム・ホースの需要が大幅に減少したようです。

次に、セグメント別売上比、営業利益率を見ていきましょう。

セグメント売上比(計100%)営業利益率
自動車52.1%0.7%
情報通信7.1%9.8%
エレクトロニクス8.9%6.7%
環境エネルギー24.7%5.3%
産業素材他9.7%7.0%

自動車用ワイヤーハーネスの売上高は全売上の半数以上を占める基幹事業ですが、営業利益率は0.7%と収益性は低めとなっています。

決算補足資料では、自動車事業の利益率を高め、全営業利益の内45%を稼ぐ事業にするというポートフォリオを掲げています。(2022年度は約10%)

光ファイバーをはじめとする情報通信分野は売上比は7.1%と最も低いものの、営業利益率は9.8%と最も収益性の高いセグメントとなっています。

フジクラ <東証プライム : 5803> 

フジクラの売上、当期純利益率を見ていきましょう。


2018.32019.32020.32021.32022.3
売上高(連結)740052710778672314643736670350
当期純利益183591453-38510-536939101

2020年度3月期(2019年4月1日~2020年3月31日)の純利益は-38510[百万円]と大幅に減少しています。

この原因は、決算説明資料によると、

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、中国・欧米に所在する拠点が一時操業を停止する事態となったこと、エネルギー・情報通信カンパ
ニーにおいて期末の銅価下落に伴う銅ヘッジ取引に関する評価損の計上、及び全体に競争激化の影響を受けたことなどにより営業利益、経
常利益ともに減益となりました。

フジクラ 2020年度3月期 決算短信

前年度比で営業利益が減少したことに加え、光ファイバー事業、欧州ワイヤーハーネス事業の減損損失が純利益の減少に大きく響いています。

2022年度3月期の純利益は39101[百万円]と大きく上昇しています。

この原因は、決算説明資料によると、

銅価の影響及び情報通信事業部門におけるデータセンタ、FTTx向け需要及びエレクトロニクス事業部門における巣ごもり需要が想定を上回ったことから売上高、営業利益及び経常利益は修正公表値を上回った。

親会社株主に帰属する当期純利益については、上記の増益要因に加え、前回公表値に織り込んでいた減損損失を始めとするリスクが発現しなかったこと及び固定資産売却益の計上があったこと等により、前回公表予想より大幅な増益となった。

フジクラ 2021年度3月期 決算短信

情報通信事業の増収に加え、減損損失が発生しなかったことや固定資産売却益など様々な好条件が重なったようです。

次に、セグメント別売上比、営業利益率を見ていきましょう。

セグメント売上比(計100%)営業利益率
エレクトロニクス26.6%7.7%
自動車18.1%-4.6%
電子電装、コネクタ44.7%2.7%
不動産1.6%47%
その他0.9%-3.3%

フジクラはフレキシブルプリント基盤(FPC)で世界有数の技術力を持ちます。FPCは自動車や家電、PCなど幅広い製品で使われ、この技術がフジクラの収益性を下支えしています。

住友電工と比べると、自動車事業の売上比は18.1%とそこまで高くありません(住友電工は売上の半分以上が自動車事業)

そして、自動車事業の採算性の悪さは住友電工と共通しています。(上記の表より、自動車部門の営業利益率は-4.6%)

また、不動産事業の営業利益率は47%と驚異的です。(本業よりも不動産事業の方が儲かるというのはどの業界でも共通ですね笑)

古河電気工業 <東証プライム : 5801>

古河電気工業の売上、当期純利益率を見ていきましょう。


2018.32019.32020.32021.32022.3
売上高(連結)967333991590914439811600930496
当期純利益2854729108176391000110093

過去5年間で当期純利益は単調減少の傾向にあり、2022年度もコロナ禍による事業環境の悪化からまだ抜け出せていません。

しかし今年度は大幅な増益となる見込みで、2023年度3月期の純利益は会社予想によれが210億円です。

セグメント売上比(計100%)営業利益率
情報通信ソリューション20.6%2.0%
エネルギーインフラ11.4%1.3%
自動車部品、電池26.9%-1.8%
電装エレクトロニクス27.0%1.9%
機能製品14.0%5.8%

古河電工は光ファイバーで世界有数の競争力を持ち、この技術を軸に電装などの事業へ多角化しています。

自動車事業の採算性の悪さは住友電工、フジクラと共通しています。(上記の表より、自動車部門の営業利益率は-1.8%)

上記の5つのセグメントの中では"機能製品"が最も高い利益率を誇ります。機能製品は以下のように細分化されます。(古河電工HPより)

  • AT・機能樹脂
    半導体製造用テープや半導体用接着フィルムを提供しており、情報通信の高速大容量化というニーズに対し、半導体の発熱問題を解決する熱伝導性の高い接着フィルムを開発
  • サーマル・電子部品
    データセンタにおけるCPU・GPU等の高発熱化や、通信基地局における発熱問題を解決する製品を提供
  • メモリーディスク
    新しい合金を使用したハードディスクの薄型化などにより、1台当たりの大容量化。
  • 銅箔
    高周波域のデータ伝送損失を低減する高周波基板用銅箔を提供。

社員の年収、平均年齢

売上社員数(連結)社員数(単体)平均年収
住友電工3367863[百万円]281075人6651人785万円
フジクラ670350[百万円]55872人2262人723万円
古河電工930496[百万円]51185人4286人696万円

業界最大手の住友電工の平均年収が最も高い(785万円)ですね。

社員数と会社の売上高は概ね比例関係にあります。

社員一人あたりの売上高は「古河電工>フジクラ≒住友電工」となり、古河電工が頭一つ抜けています。

しかし、社員一人あたり純利益となると「フジクラ(0.70[百万円])>住友電工(0.34)>古河電工(0.19)」となり、フジクラに軍配が上がります。

まとめ

今回の記事では電線御三家(住友電工、フジクラ、古河電工)を取り上げました。

電線と一言でいっても多様な製品ラインナップがありますが、住友電工は自動車ワイヤーハーネス、フジクラはフレキシブルプリント基盤(FPC)、古河電工は光ファイバーに強みを持つという違いがあります。

3社とも営業利益率は他の業界と比べると低めの状態にありますが、自動車の電動化に伴いワイヤーハーネスの需要は大きく左右されると思われます。また情報通信部門でも、昨今のデジタル化に伴い光ファイバーなどは堅調に需要が推移していくと思われます。

3社を取り巻く世界情勢は目まぐるしく変化しつつありますが、3社の業績や動向を引き続きウォッチしていきたいですね。

※参考

会社四季報 2023年1集 東洋経済社

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