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JFEスチールのインターンシップ(工場見学会)に参加してきました

2023年1月30日

2023年1月に開催されたJFEスチールの工場見学会(倉敷地域)に参加してきました。

JFEスチールは、株主や地元の小学生に対して定期的に工場見学会を開催していますが、今回は就活生(インターンシップ)という立場で参加しました。見学会を通して新たに知れたこと、感想などをまとめていきます。

※画像はイメージです。今回の見学会で撮影したものではありません。

工場の概要

JFEスチールは、国内2位の粗鋼生産量、世界でも10位代の生産能力を有します。2021年の国内鉄鋼メーカーの粗鋼生産量ランキングは以下のようになります。(引用 鉄鋼新聞)

  1. 日本製鉄  
    4946万トン
  2. JFEスチール 
    2685万トン
  3. 神戸製鋼 
    675万トン

なお、2021年度の国内粗鋼生産量は前年度比15.5%増の9563万7千トンです。(引用)

つまり、JFEスチールは国内粗鋼生産量のうち約30%を生産していることになります。

JFEスチールの主な生産拠点は西日本製鉄所、東日本製鉄所、仙台地区の3つで、それぞれの粗鋼生産量は以下のようになります。

JFEスチール 2685万トン

  • 西日本製鋼所(倉敷、福山)
    1800万トン(67%)
  • 東日本製鋼所(京浜、千葉)
    730万トン(27%)
  • 仙台地区
    60万トン(2%)

JFEスチールは、西日本(倉敷、福山)で全生産量の3分の2を製造しています。

両地区で製造している製品の違いとしては、倉敷地区ではモーターや変圧器用の電磁鋼板を製造しているのに対し、福山地区では飲料用のカンを製造しているという違いがあるようです。また東日本製鉄所はステンレス鋼を製造しているという点に特色があるようです。

西日本(倉敷、福山)での生産がかなりのウェイトを占め、仮に倉敷と福山の生産量が等しいとすると、今回見学した倉敷地区の粗鋼生産量は、日本全体の生産の約10%を占めることになります。

【JFE福山、粗鋼生産量累計5億トン達成 世界初 操業開始から56年3カ月】【引用 中国新聞

中国新聞によると、2022年10月にJFE福山地区は個別の事業所としては初の粗鋼生産量累計5億トン達成とのことです。

JFE福山地区は、世界の中で最も粗鋼を生産してきた事業所であり、倉敷地区と並んで日本の製鉄業界を支える基幹工場であることがわかります。

当日の流れ

当日の流れを箇条書きにします。

当日のスケジュール

  • 13:00 新倉敷駅集合
  • 13:00 ~13:30 バスで倉敷工場まで移動
  • 13:30 ~16:30 会社概要の説明、工場見学、質疑応答
  • 16:30 ~17:00 新倉敷駅まで移動
  • 17:00 ~ 解散

自分は京都から新幹線を使って参加したのですが、京都と新倉敷間の往復の交通費は全て支給されました。

1dayインターンシップでは、支給される交通費は上限がある、もしくは支給されないことが多いですが、2万円近い交通費を全額支給下さったJFEの懐の大きさに恐縮致しました。

倉敷地区の様子

倉敷地区は車移動が必須なほど広いです。それぞれの製鉄の工程を担当する計10つの工場が集まり一つの街を形成しており、敷地の端から端までの距離は7~8kmあるとのことです。

工場内での移動は車であることが前提で、工場の地区に入る上でのゲートも車しか受け付けていないようでした。当然自転車に乗っている人はいません。また倉敷地区内にある車は、「JFE」というナンバープレートが付けられた車が多く、倉敷地区のみの人や物資のためだけに使用されています。倉敷地区だけでも、JFEナンバーの車が数千台あるとのことでした。

工場で使用される電力は、敷地内で発電される電力でほとんどを賄っています。電力会社と協力して敷地内に発電用のプラントを建設したとのことです。

敷地内には総延長が50kmを超えるほどの、物資輸送のための線路が張り巡らされています。製鉄の過程で生みだされる、重量のある生成物や不要物を運搬するためには車を使うより鉄道の方がエネルギー効率が良いためです。

また敷地内には社員専用のセブンイレブンもあります。

工場見学では、転炉工場と圧延工場の二つに立ち入る機会を頂きました。

転炉とは、鉄鉱石を溶解してできた銑鉄を炉内に注ぎ込み、酸素を吹き込んで溶鉱へと精錬する過程を指します。赤く光る液体状の銑鉄が樽のような容器で運ばれ、炉へと注ぎ込まれる過程を見学。

圧延工場ではH型鋼や鋼矢板を製造します。どちらも土木、建築工事で使われる部材です。細長い棒状の鉄がベルトコンベアで運ばれ、複数回の工程で薄い板へと加工する過程は運が悪ければ見れないこともあるようですが、今回の見学では運よく圧延工程を見ることができました。

車は必須

JFEスチールに入社すると、免許をとって車を購入することが必須のようです。

車を購入するとどうしても維持費や車検代、保険代がかかってしまうので、入社して少しでも節約して貯金したいという人には少しデメリットかも知れません。

ただし独身寮の家賃は駐車場込みで2万円ほどと東京に住むのとでは比較にならないほど家賃が安く、車の購入費、維持費はさほど気にならないかも知れません。

また、結婚して独身寮を出る際にも7割の家賃補助が出るなど福利厚生はかなり充実しているようです。

就活生と担当者の質疑応答

JFEスチールと日本製鉄を比べた時に、御社(JFE)の強みはなんですか?

  • 一つ目の強み
    JFEは日本製鉄と比べると生産の規模では劣るものの、電磁鋼板など高級製品を作る上での技術では劣っていない。
    電磁鋼板は自動車のモーターなどに使われる鋼材で、電気の電動効率を良くすることに特徴がある。
    十分に品質の良い電磁鋼板を、単独で作れる技術を持っているのは、宝山(中国)、POSCO(韓国)、日本製鉄、JFEの4社のみであり、電磁鋼板の製造技術においては世界トップ級の技術を持っている。
  • 二つ目の強み
    JFEは生産拠点が西日本製鋼所(福山、倉敷)と、東日本製鋼所(京浜、千葉)の4つに集約されている点に強みがある。生産拠点が集約されていると、一つの製鉄所にリソースを集中させることができ、経費削減化や効率化につながる。日本製鉄は全国に生産拠点を持っており、日本製鉄に入社するとどこの地域へ転勤となるのかわからないのに対し、JFEに入社すれば転勤場所も限られるという利点がある。
    またJFEの研究所は工場と隣接しており、研究所に配属されることになってもアクセスの悪さなど不便を感じることがない。同業他社は研究所が山奥にありがちで不便を感じることが多い。

JFEがこれから注力していく分野は?

以下の4つに注力していくとのことでした。

  • 電磁鋼板
    EVへの注目が集まる中で、より電気伝導効率の良い電磁鋼板の開発に注力する。
  • 環境問題
    CO2排出量削減に向けて、電炉の活用に取り組む。
  • DX
    JFEは経済産業省が選定したDX銘柄に選ばれており、DXに引き続き注力する。
  • 海外
    現在の海外売上比率は48%だが、鉄鋼需要の増加が見込まれる海外、特に東南アジアやインドに積極的に投資していく。

入社後の配属先は?

現在のJFEスチールの人員の配属先は、

現場職 11000人

総合職 3500人(うち技術職2500人、事務系1000人)

であり、技術職のうち20%は研究開発、35%は製造技術開発、25%は設備開発が占める。

基本的に社員の希望に応じて配属先は決まるとのことです。

他の就活生の方の話

移動中のバスで隣になった方に話しかけると当日は九州からお越しになったようで、九州の某国公立大学の修士1回生とのことでした。

その方はトヨタ関連会社への就職を希望しているようで、恥ずかしながらその社名は知りませんでした。後ほど調べると売上一兆円越えの大企業であり、上場していないせいか知名度はさほど高くないようでした。トヨタは就活生からの人気が高く入社時も入社後も競争が激しいため、あまり知名度は高くないが実力のある企業を視野に入れているとのことです。

就活生として皆が名前を知っている有名大企業ばかりに目を向けるのではなく、その関連会社や子会社に注目するのもアリかもしれません。

まとめ

1dayの工場見学という短い間でしたが鉄鋼メーカーへの理解を少し深められたと思います。日本製鉄、JFE共に2022年度3月期は最高益を出しましたが、現在好調な鉄鋼業界が今後どのように推移するのか引き続き注目していきたいと思います。

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